汚染管理を目的としたクリールームのサニテーションあとがき+Q&A

本日は私たちのオープンセミナーにご参加いただきありがとうございました、担当講師の小山です。
ご参加皆様、積極的なご参加+発言に感謝いたします。
またテーブルご着席に配慮いただきました皆様にも感謝いたします。

本コースは出来るだけ解り易く+写真/動画複数入れ+ケーススタディで理解を深める構成になります。
同一テーマで異分野や他社の方々と議論/思考共有する機会は社会に出てから限られると考えます。
皆様、印象に残ったキーワードや自社とのギャップなどを可視化されましたか?
今回の学びを活かして今後の活動へと是非繋げて頂きたいと考えます。

アンケートで頂きました質問や疑問について一部ではありますが以下にまとめさせて頂きます。
ご参考になれば幸いです。

>リスクアセスメントのやり方について詳しく聞いてみたかったです
ISO9001を初めとする品質マネジメントシステムでは昨今リスクマネジメント-リスクアセスメント重要性が強くフォーカスされています。(PIC/S GMP、ICH Q9、QMS省令、化粧品GMPなども同様)
リスクマネジメントは組織を率いて運用していくことが求められますがその手前の「リスクアセスメント」は単独で実施することも可能です。
今回の内容であれば「汚染状況の抽出」「サニテーション選定資材/選定薬剤/作業が製品へ及ぼす影響」など様々な因子に対してそのリスクを抽出することが可能です。リスクアセスメントとしては「ブレーンストーミング」「FMEA」「特性要因図:Fish Born」「HACCP」などのアプローチよく適応されます。
アセスメントアプローチはオープセミナーでも開催しております、また多くのケーススタディや事例を用意しております。機会があればぜひご参加ください。

>テキスト末に合ったような具体的な評価方法や分析方法がもっと知りたい、CCS関連のリスク低減評価時の検討手法など
今回のサニテーションを突き詰めていくと微生物管理のバリデーションと交わる点が複数出てきます。
巻末に一例を挙げた微生物バリデーションや傾向解析は私たちの業務において実績とデータベースが有り、微生物管理枠のオープンセミナーでは詳細アプローチを公開しています。
なお、微生物管理の基礎トレーニングスクール①~③受講による「微生物管理担当者(Microbiologist)認定」+「CCS推進担当者認定」などで具体的な力量担保を推進しています。
詳細は以下ページ記載内容をご確認、自社内でのトレーニング機会や自身能力ギャップ確認にご利用下さい。
https://www.kea-mgt.com/top-page/hrm/microbiology/
https://www.kea-mgt.com/top-page/member/competence/

なお、CCS:汚染管理戦略の関連講座としては以下コースを定期開催中です。
「CCSの基礎とMicrobiologist(微生物管理担当者)が担うべき責任と役割」
https://www.kea-mgt.com/archives/25y-60/

>スポット処理の画像/動画が見たかったです
次回までにより分かりやすいよう実際の作業状況をまとめておきたいと思います。

>洗剤を使用して洗浄は考えたことが無かった
汚染度が高く界面活性剤など効果を用いなければならない場合は洗浄剤を適応する場合があります。
講座内でもお話ししました通り、薬剤を使用する場合は除去や残存など製品リスクの側面から確認する必要が有るため、物理的作用のみで洗浄を行うことは決して間違えではありません。
純水のみの使用時であっても洗浄効果が得られているかの有効性評価は必ず行いましょう。

>環境衛生管理担当者(Hygiene/Sanitary Management)の認定について教えて欲しい
自社内において体系的な環境衛生管理に関連する教育訓練の機会を作ることは難しいと考えます。
私たちキアマネジメントは以下講座の受講+理解度確認などを併用することで「環境衛生管理担当者の力量認定」を行っています。
認定を受けた方々が自社内での活動推進に積極的に関わることでマネジメントシステムの活性化を望みます。
これらはCCS:汚染管理戦略を推進する組織には非常に大切な力量と考えています。
なお力量は活動設定とレビューを行うことで定期更新が可能です。
 MI-1:GMP/QMSのためのゼロから学ぶ微生物学(理解済みの方は不要)
 MI-2:GMP/QMSのための微生物学/管理の基礎トレーニング ① ~微生物管理の包括的理解~
 GQ-1:クリーンルームの基礎理論
 GQ-2:クリーンルームの衛生管理 ① 製造エリアの個人衛生管理(パーソナルハイジーン)
 GQ-3:クリーンルームの衛生管理 ② 清浄化と消毒(サニテーション)←今回の講座
 GQ-4:クリーンルームの衛生管理 ③ 環境面のモニタリング(MI-4に含む)
 GQ-5:クリーンルームの衛生管理 ④ 異物混入の理解と防虫管理活動の基礎、委託業者管理
(オープンセミナーでの受講、オンサイト式での受講のどちらでも対応可。既に個別力量が担保されている場合はスキップ可)

>現場従事者向けのトレーニングやサニテーション文書体系の見直しの依頼できますか?
製薬メーカー様、医療機器メーカー様をはじめとして数多くの現場にて集合教育や基礎トレーニング、それらに伴う力量認定や教育訓練のシステム構築なども提供しております。
参加人数様や基本依頼内容などを調整させていただくことで仕様案/お見積り案を作成可能です。
またトレーニング実施に合わせサニテーション関連の監査も実施しております。
詳細はお問い合わせください。

>バイオバーデンについて知りたい
バイオバーデン:Bio Burdenとは「微生物学的負荷量」を指します。定義としては以下2点が解り易いかと思います。
・ 製品、及び/又は無菌バリアシステムの上又は内部に存在する生育可能な微生物群

(ISO/TS11139:ヘルスケア製品の滅菌 単語 滅菌及び関連機器およびプロセス標準で使用される用語)
・ 滅菌前の原料及び資材等に生存する微生物の数と種類
(無菌操作法による無菌医薬品のガイドライン、最終滅菌法による無菌医薬品のガイドライン)

また、PIC/S Annex1では「特定項目に関連する微生物総数」とされ、対象は「人、製造環境(空気、表面)、設備、製品包装、原材料(水を含む)、工程内原材料、最終製品」など多岐に渡ります。
このため○○バイオバーデン測定と表記することが一般的です。(○○に対象が入る)
汚染管理の側面から「対象にどのような菌が、どれだけいるかを正確に調べること(調べるシステムを有していること/検証含む)」は CCSと連動し、定点/定条件を監視するモニタリングとは異なる位置づけを持ちます。

今回のサニテーションは「製造環境のバイオバーデン結果」と密接な関係を持ちます。また「製品のバイオバーデン」へ影響を及ぼす可能性があります。

以上