GxP/QMSのための微生物学/管理の基礎トレーニング③ 講師あとがき
2024-11-14 セミナー関連
GxP/QMSのための微生物学/管理の基礎トレーニング③
~バイオバーデンの理解とモニタリングプログラム構築~
ご参加の皆様へ
◆ 講師あとがき
今回は「微生物学/管理の基礎トレーニング③」にご参加いただき有難うございました。
講師を担当しましたキアマネジメントの小山です。
本講座はクリールームの微生物管理状況をバリデートすることを目的として、環境微生物管理に必要となる全体像を捉え、バイオバーデン測定設計規格であるISO11737-1、環境モニタリングプログラム設計におけるポイント、検出結果における注意すべき点などを汚染管理戦略CCSと連動してまとめた内容でありました。
微生物管理活動やモニタリングについては…
・ 実働現場で微生物管理担当者の力量向上機会が少ない
・ モニタリング担当者の具体的必要力量の設定と評価が曖昧
・ 過去に立案した試験プロトコールを追従しているのみ
・ 試験結果の合否判定にのみ終始
・ 試験系の見直しや検証の未実施
・ 専門分野のため内部監査フォーカスになっていない
・ 妥当性の評価未実施
様々な危惧要素が存在します。
また、微生物モニタリングプログラムは形骸化しやすく、測定そのものが目的に陥り易い傾向を持ちます。
「環境のバイオバーデン」をベースにして、微生物管理のための活動と紐づけたモニタリングプログラムの設計と構築を行い、継続的に微生物を監視下に置き続ける活動を進めることが重要です。この部分は22年度に定義されたCCSを適用することでより理解し易くなると思います。
③では以下のケーススタディにチャレンジをしました。
Ice Braking :セミナー参加の目標を明確化+記録
Ice Braking :微生物管理の基礎要素 理解度確認
ケーススタディ-1:クリーンルームの清浄度へ影響を及ぼす汚染のリスクファクター
ケーススタディ-2:微生物モニタリングの持つ特性
ケーススタディ-3:重要キーワード/ポイント書き出し
ケーススタディ-4:バイオバーデン試験の逸脱時/悪化傾向時の調査手順
ケーススタディ-5:重要キーワード/ポイント書き出し
ケーススタディ-6:環境微生物モニタリングデータの解析
ケーススタディ-7:モニタリングプログラムの概念(HACCP)→ 当日シートの一部抜粋を記載
ケーススタディ-8:環境微生物モニタリング(微生物試験)のQA体制
受講を通して、新しい気付きや問題提起はありましたか?
自らの職務と連動して、今出来ていること/今後必要なことなど、ぜひまとめてみてください。
創業時より開催しています「微生物学/管理の基礎トレーニング」は今年度久しぶりに①~③までの連続実施となりました。
お忙しい中、ご参加頂きました皆様に御礼申し上げます。
・①、②未受講、より基礎力量向上を目指す方
・④:微生物汚染発生時のRCA/CAPAのための論理的思考アプローチ
・Microbiologist認定
などについてご興味がある方は是非お問い合わせください。オンサイト形式を合わせて対応させて頂いています。
◆ トレーニング①~③後の受講を推奨する講座
微生物管理を具体的な活動へと転換するにあたりCCSの概念を利用する場合、微生物管理担当者の職務を明確にするためには本年度からの新設講座、
・ 汚染管理戦略CCSの基礎とMicrobiologist(微生物管理担当者)が担うべき責任と役割
の受講をお勧めします。
アンケートにてフォローアップご希望とご記入頂きました者様には、お近くお伺いの際に改めてご連絡させて頂くことがございます。
お時間のご調整が付くようでありましたら、是非セミナーのご感想やご意見、微生物管理に対する疑問や悩みなどお聞かせいただけますと大変有難く思います。
皆様とまたお会いできることを楽しみにしています
2024.11.14 Koyama
GxP/QMSのための微生物学/管理の基礎トレーニング② 講師あとがき
GxP/QMSのための微生物学/管理の基礎トレーニング②
~環境検出微生物の分類同定/検索/メタデータベースの利用/傾向解析~
ご参加の皆様へ
◆ 講師あとがき
今回は「微生物学/管理の基礎トレーニング②」にご参加いただき有難うございました。
講師を担当しましたキアマネジメントの小山です。
本講座は、生物分類学の基礎を学び、検出微生物について考察するため具体的手法(表現型/遺伝型)、メタデータベースの利用と傾向解析アプローチなどを中心にまとめた内容でありました。
分類同定の基本スキームは「分類学の歴史」と共に更新され続けています。
・表現型は旧来から積み上げられてきた分類体系をトレースする形の試験項目がベース
・遺伝型は3ドメイン説による塩基配列の類縁性/相同性がベース
どちらの重要性もまとめさせて頂きましたが、特にCCSなどの微生物管理直結するアプローチの場合は「学名を元にした同定」そのもの意味合いが重要性を持たない場合もあるため注意してください。
(この部分の考え方は様々な角度で複数回講座内で出てきたかと思います)
分離された微生物は「Strain:株」の単位です。
一方で特に遺伝子をベースとした同定は配列データベースとの相同性から「最も近い種」を引き出しているに過ぎません。
16S rRAN遺伝子はフルで解析すると約1500bp、種の同定でこの領域を使用する場合は最近縁種と99.8%以上(3塩基違い以内)+表現型の考察が望ましいとされます。
「学名上の種名が判明」したとしても、その生理活性が把握できるわけではありません。
例えば…腸管出血性大腸菌 O-157は大腸菌 Escherichia coli という「種」の中で、ベロ毒素を生産する「株」を指します。「種レベル」の考察を深堀りしても「株」の情報は得られません。
GxP/QMSの分野では
・何のために「分類と同定」を実施するのか
・どの様な考察をするためにどこまで「分類と同定」を実施するのか
という部分が曖昧なまま自社内の試験系が構築され、場合により外部委託分析を行うという事例を多く拝見します。
今回の学びを活かし「検出微生物について、どのような情報を引き出し、考察を行い、管理へ繋げていくか」という部分を考える機会を作っていただけますと幸いです。
皆様、新しい気付きや問題提起はありましたか?
自らの職務と連動して、今出来ていること/今後必要なことなど、ぜひまとめてみてください。
◆ トレーニング②後に受講を推奨する講座
バイオバーデンや環境モニタリングプログラムの設計/構築/バリデーションなどの考え方の整理には、
・47回 トレーニング③~バイオバーデンの理解とモニタリングプログラム構築~
また、微生物管理を具体的な活動へと転換するにあたりCCSの概念を利用する場合、微生物管理担当者の職務を明確にするためには本年度からの新設講座、
・48回 汚染管理戦略CCSの基礎とMicrobiologist(微生物管理担当者)が担うべき責任と役割
の受講をお勧めします。
※:各講座名のリンク先パスワードは
私たちからのご連絡メール末尾に記載があります「KEA*******」にて閲覧可能です
アンケートにてフォローアップご希望とご記入頂きました者様には、お近くお伺いの際に改めてご連絡させて頂くことがございます。
お時間のご調整が付くようでありましたら、是非セミナーのご感想やご意見、微生物管理に対する疑問や悩みなどお聞かせいただけますと大変有難く思います。
2024.10.04
KEA management 小山
微生物管理の基礎トレーニング② ネットワーク検索リンク
2024-10-02 セミナー関連
List of Prokaryotic names with Standing in Nomenclature
https://www.bacterio.net
The Bacterial Diversity Metadatabase
https://bacdive.dsmz.de
American Type Culture Collection
https://www.atcc.org/
Japan Collection of Microorganisms
https://jcm.brc.riken.jp/ja/
The National Collection of Type Cultures
https://www.phe-culturecollections.org.uk
Deutsche Sammlung von Mikroorganismen
https://www.dsmz.de/
DNA Data Bank of Japan
https://www.ddbj.nig.ac.jp/index.html
National Center for Biotechnology Information
https://blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi
継続的力量認定ログのページを更新しました
トップページ→会員専用ページ→力量認定ログページから、力量認定状況、有効期間などの確認が可能となりました。
個別ページは各参加者様専用のパスワードが入力必要です、ご不明な方はお問合せからご連絡ください。
防虫管理活動の基礎と委託先の選定/評価/管理 講師あとがき
昆虫管理防虫管理活動の基礎と委託先の選定/評価/管理 ご参加の皆様へ
◆ 講師あとがき
「防虫管理活動の基礎と委託先の選定/評価/管理」にご参加いただき有難うございました。
講師から「あとがき」をまとめさせて頂きます。
本講座は「委託中の防虫管理活動が機能していない」「不適当な防虫管理契約を締結している」「管理活動/委託契約内容を見直すきっかけを作ることができない」という多くのお客様の声を受け「現状の問題点を可視化して防虫管理の有るべき姿を確立すること」を目的に構築したオンサイト形式講座をベースとしています。
今回はご参加皆様から積極的発言を多数いただき、委託状況や管理内容、抱える問題点などを相互共有することが出来ました。
「異物→生体由来→昆虫類」が原因となる回収の比率は僅かです(16年間統計にて0.5%以下、生体由来異物としては毛髪類の方が遥かに多い)。この中で多くの防虫業者が進めている「現場の昆虫モニタリング」→「結果を吸い上げ」→「周囲の問題点を探し」→「是正を推奨する」は「存在した昆虫に対策を打つ」という殺虫業者が持つ旧来アプローチです。この繰り返しは「昆虫類の存在を確認している」という側面を持ち、予防や管理、保証の側面は脆弱と言えます。
「何年間も管理を委託しているにもかかわらず毎回/毎年同じような指摘が積算する、昆虫類の捕獲傾向は低水位とはいえ減少していない」という問題点は多くのお客様から共通して挙げられている項目です。
クリーンルーム内は様々な管理因子や要求事項があり、規格要求が付く環境モニタリング項目が存在します(塵埃、微生物、差圧など)。一方で昆虫モニタリングそのものには公的リファレンスや明確な共通管理基準値は存在しません。この背景のなか「昆虫のみを切り出し、その生態、モニタリング技術論、管理基準値の妥当性、営繕」などをいくらまとめても、製品への混入リスク評価や品質保証体制の構築に繋がる訳ではないことを理解しなければなりません。
現在は製造エリア/製品に影響を及ぼすあらゆる汚染要素は、個別管理項目や部門別の縦割りではなく「CCS:汚染管理戦略」という概念で抽出/水平統合することにより、PQSやQMSなどのマネジメントシステムへと組み込み、継続的に管理下に置くために活動推進していく新しい形が要求されています。
この中には防虫管理も含まれ、具体的な活動としてモニタリングスタートではなく「侵入や拡散を防ぐための構造設備維持/管理」「発生/定着を防ぐための衛生管理維持」などが主要リンクする形がより進むと考えます。
各QMSでは委託業務について取組み内容を定期的に評価、必要に応じて仕様変更や業者変更を検討する仕組みを有することが求められています。
防虫管理について委託業者を使用する場合、業者へ委託する業務内容や品質要求項目を明確に提示することにより活動の管理を行い、その進捗状況と問題点の共有を図ることが重要です(内部監査視点+2者監査視点)。
また、業者主導による契約書では委託側が不利になる項目が多く含まれるため、特に注意しなければならない点を具体的にまとめました。
皆様、新しい気付きや問題提起はありましたか?
「担当者まかせ」「委託業者まかせ」では防虫管理活動は効果的に推進しません。
自らの職務と連動して、今出来ていること/今後必要なことなど、ぜひまとめてみてください。
◆ 本内容との関連講座(CCS、クリーンルーム基礎系講座、オンサイト講座)
PIC/Sに記載されたCCS:Contamination Control Strategyでは製造エリアに存在しうる汚染を統合的に管理することを要求しています。多くの項目を含むCCSの中には防虫管理も含まれます。(Facilitiesの項目において「Pest Control Program/Traps location maps」と記載)
CCSの概念を理解する場合、本年度からの新設講座である以下の受講をお勧めしています。
・48回 汚染管理戦略CCSの基礎とMicrobiologist(微生物管理担当者)が担うべき責任と役割
防虫管理活動に関連するクリーンルーム基礎系講座としては以下がお勧めです
・ クリーンルームの規格/構造/環境管理の基礎
・ クリーンルームの環境モニタリングの基礎
・ クリーンルーム入場者対象 パーソナルハイジーン
・ クリーンルームの清掃学
防虫管理の基礎+委託業者管理系の講座は、講師派遣型による集合教育形式でも実施しております
※:各講座名のリンク先パスワードは
私たちからのご連絡メール末尾に記載があります「KEA*******」にて閲覧可能です
アンケートにてフォローアップご希望とご記入頂きました者様には、お近くお伺いの際に改めてご連絡させて頂くことがございます。
お時間のご調整が付くようでありましたら、是非セミナーのご感想やご意見、疑問や悩みなどお聞かせいただけますと大変有難く思います。
2024.09.12